会長挨拶

会長就任にあたってのご挨拶

日本子ども家庭福祉学会 会長 伊藤 嘉余子

 2023年度より、会長の任を務めさせていただくことになりました、大阪公立大学の伊藤嘉余子でございます。こども家庭庁創設、こども基本法制定など、子ども家庭福祉分野に対して社会からの大きな関心と期待が寄せられている今日、このタイミングで本学会の会長という重要な役目を仰せつかりまして、その責任の重さに改めて身の引き締まる思いでございます。
 本学会は2024年度に設立25周年を迎えます。先述したとおり、子どもやその家庭の福祉や支援のあり方に注目が集まる中、学会の歴史の中で節目のときを迎えることになります。こどもが健やかに笑顔で毎日を生きることのできる「こどもまんなか社会の実現」に向けて、本学会も役割を果たしていかなければならないと考えます。そのためにも、子どもの声をしっかりときくことが大切になります。そして、「ききっぱなし」ではなく、具体的にアクションを起こし、子どもの声をかたちにして社会に還元していくために必要なことを皆さまと一緒に考えていきたいと思います。
 また、1999年に本学会が設立されて以来、初の女性の会長となりました(もう「性別は男女の二択ではない」という考え方が広まる中、あえて「女性」と強調することに少し違和感を覚えますが、ここはあえて言わせてください)。家族規範、母親規範、家庭内や社会におけるジェンダー規範に起因するマイクロアグレッション等の視点からも、今後の子ども家庭福祉のあり方について、しっかりと議論・情報発信する機会を学会として設けていくことも必要だと考えております。
 さらに、国が推進している地域共生社会の実現を目指すには、子ども家庭福祉だけではなく、障害者福祉や高齢者福祉など他の分野とも連携して、重層的かつ包括的な支援体制の構築を推進することが求められるとともに、既存の法制度や支援の枠を越境する新たな視点、アイデアと行動力が必要となります。新たな支援を創造するための子ども家庭福祉に関する調査研究活動の活性化を図り、子ども家庭福祉の発展に寄与できる学会活動や、会員の成長発展の場となる学会活動を目指して努めて参りたいと思います。
 最後に、これまでの本学会の歴代の会長の先生方は、その時代時代における子ども家庭福祉分野の研究・実践・政策提言等におけるトップランナーであり、カリスマ的なリーダーシップを発揮してこられた先生ばかりです。本学会が積み上げてきた学会活動を継承しながら、さらなる発展に向けて少しでも貢献できるよう、浅学非才の身ではございますが、会員の皆さまのご支援ご協力を得ながら、理事、監事の方々と連携して尽力していく所存でございます。
 子ども家庭福祉の研究・実践・制度のさらなる充実のために、一緒に学びあえる学会を目指したいと思います。皆さま、ぜひ学会の諸活動に積極的にご支援ご参加ください。