日本子ども家庭福祉学会 -Japan Society of Child and Family Welfare-

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リレー随想 ~会員および現場からの声 vol.12

リレー随想 ~会員および現場からの声 vol.12

育慈会ことぶきイーサイト保育園 高田綾 卒園式の季節です。 3月の保育園では、卒...

育慈会ことぶきイーサイト保育園 高田綾

卒園式の季節です。
3月の保育園では、卒園式の準備がにわかに始まります。会場の装飾企画や備品の手配、BGM選びに来賓への招待状発送etc...
舞台裏の仕事もさることながら、最も劇的な局面を迎えているのは主役の年長児たちです。卒園式に向かう日々のなかで、彼らは「卒園児」であることを自覚し、卒園していくという実感を獲得していっているようです。
そして同時に、彼らの育ちを見守ってきた保育士も、実はまったく同じことを感じさせられているようです。
ついこの間まで、オムツをして泣きながらあやされていたのに。
ついこの間まで、左右逆だけど自分で履いた靴が嬉しくてはしゃいでたのに。ついこの間まで、先生の話を聞くより自分の話をしたがってばかりいたのに。
卒園式の練習をする年長児は、名前を呼ばれて「はい」と答える声の大きさも、卒園証書を受け取る所作も、背筋を伸ばして椅子に座り大人の話を一生懸命聞く後ろ姿も、保育園での思い出や大人たちへの感謝の言葉を真剣な表情で暗唱する姿もすべて、とても健気で立派で、胸が熱くなります。
ママが取れる最短の育児休暇を経て保育園に預けられた子どもは、早くて生後2か月が保育の開始です。初めて自力で一歩あるいた瞬間、初めてオマルでおしっこをした瞬間、初めてお友達におもちゃを貸してあげられた瞬間...そういう個々の育ちの瞬間を0歳から見守ってきた保育士にとって、卒園式を迎える子どもたちの成長した姿から得る感動や喜びは、ひょっとしたらパパやママと同じくらいかもしれません。
保育士にとって、子ども達の成長した姿が与えてくれる喜びは自分たちへのご褒美です。卒園式は、子ども達と一生懸命向き合ってきてよかった、この子ども達が無事にここまで成長してくれてよかった、自分はこの子ども達の成長のために保育をやり遂げた、という純粋な達成感と自己価値観を獲得する極めて重要なセレモニーです。
卒園式ではパパやママ以上に大号泣する保育士は珍しくないかもしれません。それは多分、保育に真剣に一生懸命真面目に取り組んだゆえに子ども達の成長した姿が嬉しすぎるから。
卒園式の時だけは、保育士さんに思いっきり泣いて欲しい、泣かせてあげたいと思うのです。

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