日本子ども家庭福祉学会 -Japan Society of Child and Family Welfare-

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リレー随想 ~会員および現場からの声 vol.10

リレー随想 ~会員および現場からの声 vol.10

東京未来大学 野田敦史  『人間社会にとって本質的な幸せとは何か?社会の最小単...

東京未来大学
野田敦史

 『人間社会にとって本質的な幸せとは何か?社会の最小単位である"家庭"から何が読み取れるのか?そして、子どもにとって今、社会的環境に必要なものは何か?』。これが一般的ではあるが日本子ども家庭福祉学会へ入会させいただいた当時の私の思いである。

現代に生きる多くの人たちは、物質的に豊かな生活の中で一時的には満足することはできるものの、内面で自律できずに不安を抱え社会的に生きづらいと感じている人たちが少なくない。効率主義、経済至上主義という名のもとに私たちは、一見すると便利で美しく無駄なものを省いたモノだけを受動的に受け取ってきた結果、その生活の中に埋没し自ら生きる力が弱くなってきていることに気づかされる。

これまで私は、障害を抱えた子どもや人たちとその家族に出会ってきた。その中で感じてきたことは、その多くの人たちが様々な苦難を乗り越えた後に、自らの頭で考え、自らの足で歩もうとしている姿勢を持っていること、そして、その苦難には、多数の人の関わりと時に優しく受容的に、時に厳しく自立させるような多様な支えが存在していたことである。

この両者の比較から推測できることは、人間の自立や生きる力(≒幸せ)には、一見するとネガティヴと思われる事象の中に必要な要素が存在している可能性が高いということである。子どもを取り巻く家庭に照らし合わせて言うならば、ひと昔の家庭では、あたりまえのようにあった兄弟喧嘩、祖父母の介護と死、父母の家庭内でのやりくりの苦労...これらは、子どもにとっては辛く厳しく悲しい経験であったかもしれないが、その一方でその場面で起こった感情と共に記憶された思考は情緒的に成長させる欠くことのできないものであったかもしれない。

2013年を迎え、今一度、原点に立ち返り、失われた中から宝物を探す作業をはじめようと思っている。

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