日本子ども家庭福祉学会 -Japan Society of Child and Family Welfare-

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リレー随想 ~会員および現場からの声 vol.6

リレー随想 ~会員および現場からの声 vol.6

町田福祉保育専門学校 非常勤講師 近畿大学九州短期大学通信学部 非常勤講師 水枝...

町田福祉保育専門学校 非常勤講師
近畿大学九州短期大学通信学部 非常勤講師
水枝谷奈央

 これまで私は保育士として、保育所や地域子育て支援拠点において保育、保護者支援に携わってきた。現在は支援される立場にある1歳児の母親であり、保育士養成校の職員でもある。夜泣きや食の悩みなど、子どもを育てて初めて保護者の真の思いを実感した。自らは本当に適切な支援ができていたのだろうか。反省する一方、保護者としてニーズと支援のミスマッチをときに残念に思うことがある。
 保育所保育においても地域子育て支援においても、保育士の保育相談支援の最大の特徴は、気軽に出来る生活場面面接である。また、ケアワークの専門家であり、多くの子どもを保育しているからこそ、子どもの性格や細かな発達段階に合わせた関わり方の多様なパターンを保持していることは、保育士が誇るべき専門職性である。相談して残念に思うのは、一方的に解決方法を告げられて終わるケース。すでに試していたり、我が子には合わない方法であったりし、「それでも無理だから相談しているのに」と思うが、目の前にはもう誰もいない。保育士だからこそ、その子ども、その保護者に合った支援が欲しい。そのためには、保育の専門性を基礎にして保護者支援の展開過程を意識することが大切だと感じている。受容、傾聴、共感をして保護者の気持ちを受け止めながら、「家庭ではどのようにしていますか」と、生活場面面接という限られた時間の中でも情報収集・情報交換をして、何が上手くいかずに困っているのかを共に整理できると有り難い。その後、事前評価をして、一緒に方法を検討する。その過程こそが大切なのではないだろうか。
 また、保育士の気付きによって支援が必要と判断した場合、「支援」を「注意」や「批判」と保護者に捉えられてしまえば、保護者は萎縮し、監視されているように感じてしまう。よく気付いて下さるのだが、居心地の悪い思いをしたこともあり、保護者との関係を形成するプロセスと共に支援を行う大切さも実感した。「承認」の言葉、その一言により信頼できる関係が生まれたことを体感したこともあった。
 昨今、厳しい人的配置のなかで、保育士に求められる課題は増大している。保育士にとって無理のない形でできる保護者支援、保育士だからこそできる保護者支援の在り方について、これからも考えていきたい。

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